猫コラム

ペットショップで猫を迎えたらワクチンが打てないほどガリガリにやせ細っていた話

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先日、ノルウェージャンフォレストキャットを飼っている友人宅に遊びに行きました。我が家より1年ほど早く猫を家族に迎え入れた友人ですが、現在に至るまでに相当の苦労があったようです。

今回は、そんな友人宅のノルウェージャンの”にゃー”について書くことにしました。

ペットショップでの出会い

ノルウェージャンフォレストキャットのにゃー

ノルウェージャンフォレストキャット
ノルウェージャンフォレストキャットと言えば、日本でも人気の猫種です。毛が長い長毛種で、大型種に分類されます。人と触れ合うことを好む寂しがりやの性格です。

そんな、ノルウェージャンフォレストキャットの”にゃー”は繁殖業者の元で生まれてから、チェーン店のペットショップへとやって来ました。

ペットショップでの購入体験

ある日、友人はなんとなく入ったペットショップでガラスケース越しに”にゃー”と出会いました。店員さんに声をかけられ抱っこをさせてもらうことに……。

まだとても小さかった”にゃー”は両手に収まってしまうくらいの大きさです。店員さんの接客を受けるている間に、”にゃー”は抱っこされた友人の膝の上で眠り始めたそうです。

ノルウェージャンフォレストキャット
元々、猫を迎えたいという思いがあった友人ですが、その可愛さに一目惚れ。気付けば店員に言われるがまま。”にゃー”と猫の飼育用品やペット保険なども併せて必要なものを全て購入していました。総額は80万円程だったそうです。

テト
テト
ペットショップでは生体と一緒に飼育用品や保険を全部買ってくれるお客さんが一番利益を出してくれるにゃ
ピノ
ピノ
ちなみに、ブリーダー出身の兄たんとアタチと、飼い主がネットで買い集めた飼育用品では40万円以内だったんだからねっ!

一般的な猫を迎えるための初期費用については「猫を飼うのにお金はいくら必要なの?」でまとめてあります。参考にしてみてください。

猫を飼うのにお金はいくら必要なの?実際にかかった初期費用と飼育用品の紹介猫を一緒に暮らすには、飼育用品とそれを買うためのお金が必要です。また、猫を迎えてからも食費や消耗品などがかかってきます。 これから猫を...

迎え入れてから発覚・発症した病気

しかし、”にゃー”を迎え入れてからが本当に大変でした。迎え入れてすぐに仔猫の体調がよくなさそうなので、獣医さんに連れて行ったところ、様々な問題が見つかりました。

痩せ過ぎて弱っていた

とても小さかった”にゃー”ですが、ノルウェージャンフォレストキャットの仔猫とは思えないくらいの小ささでした。あまりにも低体重すぎてワクチン接種ができないほどです。

毛がフワフワなのと、猫に関する知識があまりなかったためショップでは気付きませんでしたが、体型もガリガリでした。

テト
テト
猫種によって時期による適正体重は違うから、素人には痩せすぎかどうかって判断が難しいんだにゃ
ピノ
ピノ
仔猫だけでなく、その仔猫の両親も異常に小さすぎないかどうかっていうのは大事なんだからねっ

次々と発症する病気

ノルウェージャンフォレストキャット
痩せ過ぎていたことで、体力がない”にゃー”には色々な病気が併発しました。

血便、網膜炎、猫風邪……どれも購入後に短期間で発覚しました。血便に関しては頻繁に起こしていたそうです。

獣医師には「こんな状態の悪い子は買うものじゃないよ」と言われて、酷くショックを受けたそうです。なぜなら、”にゃー”もう大切な家族になっていたからです。

これが、最初に訪れる「ペットショップで犬猫を買うリスク」です。

ペットショップで生体を買うリスクとは?

兼ねてより日本のペットショップでの生態販売は問題視されてきました。悪質な繁殖、早過ぎる親離れ、生態の健康よりも売ることを優先する……など。ペットショップで犬猫を迎える際の具体的なリスクを紹介します。

家族と引き離されるのが早い

幼い動物たちにとって、幼少期に親や兄弟と過ごす時間は、その後の性格形成にとても重要です。飼い主では教えられないような生きていくためのルールを、親や兄弟達から学びます。

しかし、ペットショップで売られている犬猫は家族と早々に引き離されてしまいます。そのままペットショップへと買われ、隔離された狭いスペースで単独で過ごすことになります。

当然ながら親や兄弟たちから学ぶべき社会性を得ることができません。それは、その後の性格にも影響していきます。問題行動を起こしたり、噛み癖がでてきたり、いわゆる「飼いにくい性格」となってしまう可能性がでてきます。

ご飯の量を故意に減らされていることがある

「小さい方が可愛くて売れる」というのがペットショップの鉄則です。大きくなってしまうと売れ残るリスクが高くなるため、わざとご飯の量を減らして身体が大きくならないようにしているペットショップもあります。にゃーの場合も、ガリガリでワクチンが打てない程の小ささでした。

ノルウェージャンフォレストキャット
友人宅の柴犬の小梅。小柄だけどとっても元気

柴犬をペットショップで迎えた別の友人もいますが、そこでも食事制限をされていたらしく成犬になっても身体は普通より小さめです。

1番栄養が必要な時期にご飯が満足に食べられないわけですから、当然のことながら生涯に渡って健康面でのリスクを抱え続けることになります。

無理な交配で生まれた可能性

ペットショップで売られている犬猫は、繁殖業者の元で生まれます。このペットショップに犬猫を卸すための繁殖業者は表に出ているようなブリーダーとは異なります。

悪質な繁殖業者は利益を出すために、より小さくて売れる個体を、より見た目が良い個体を……というのを重視するため、無理な繁殖を行なっているというのは、前々から問題点として指摘されています。

狭くて汚い劣悪な環境で、遺伝的疾患のリスクが高くなる近親交配などが平然と行われています。そんなところで生まれた子猫や仔犬達が健康体である確率はどれくらいになるでしょうか?

以前、都内の高級ペットショップを訪れた際に接客中の会話を聞いた話です。両手で収まるくらいのスコティッシュフォールドの仔猫を抱いたお客さんに対して、店員が「その子はより小さい身体になるように両親も小さい個体を選んで交配したんですよ。なので大人になっても大きくなりません」と説明していました。

この話を聞いて「なるほどー」ではなく「恐ろしい」と感じて欲しいです。

値段が高い

ペットショップで売られている犬猫は、ブリーダーから迎えるのに比べて値段が高いです。
例えばベンガル猫なら模様の美しさで値段が決まりますが、同じグレードの子であってもブリーダーとペットショップでは、ペットショップの方が高い値段がつく傾向にあります。

それは、繁殖業者→ペットショップと人件費や維持費など、様々な費用がかかっているためです。また、店舗のある地域の地価や最低賃金なども生態の値段に影響してきます。

高い犬猫だからといって、グレードが高く、性格が良く、健康である、というわけではありません。

ペットショップの生体販売は問題だらけ

もちろん、全てのペットショップがこのような悪質な状態というわけではありません。しかし、私の経験上では「問題のない良い環境」というペットショップは今のとこ見つけられていません。

ノルウェージャンフォレストキャット
子供の頃に飼っていたシーズーは皮膚病持ちで常に何かしらで通院していました。有名なチェーン店でハムスターを飼ったら妊娠していたこともありました。可愛い子ハムが6匹も生まれて譲渡先を探すのに苦労しました。そのショップにはクレームを入れましたが、今でも繁殖可能なオスメスを一緒のケージに入れて売っています。

有名なチェーン展開しているペットショップで運営している猫カフェが、まともに管理もされていない劣悪な環境だとTwitterで暴露されていたのも見ました。(話題になり始めたところで店側が該当する猫カフェを突然休業にしていました)

ベンガル猫のテトとピノを迎えてからは、特にベンガルについては詳しくなりました。ペットショップでベンガルがいれば抱っこさせてもらったりもしますが、やはりテトやピノが仔猫の頃よりも小さく、毛並みも悪い子達ばかりです。元々小柄で生まれてきた仔猫の頃のピノよりも小さいのです。

テト
テト
今の日本のペット業界では、生体のことを重視すると、経営が続けていけないんだにゃ
ピノ
ピノ
仕組みそのものが良くないってことなんだからねっ!
テト
テト
少しづつ法律で規制する動きも出てきているけど、既存のシステムを変えるのは凄く難しいんだにゃ

猫を愛する飼い主に救われた”にゃー”

ノルウェージャンフォレストキャット
友人宅の家族となった”にゃー”ですが、仔猫時代は何度も通院を繰り返し、友人と共に健康体を目指して頑張ってきました。2歳になった今では体重も6kgになり、立派なノルウェージャンフォレストキャットです。(ただ、ガリガリだった反動でご飯を食べすぎたのでダイエット中らしい)

フードはずっと食事療法のものを与えているので、食費は毎月5,000円くらいだそうです。血便や尿結石を起こしやすいので、獣医師から許可されたもの以外はおやつも含めて与えていないそうです。

フードは品質によって値段が変わりますが、獣医師の指導の下で与えることができる食事療法用のフードは、通常のフードよりも値段が高くなります。

ちなみに、生肉とロイヤルカナンやヒルズを与えている我が家の食費が1頭当たり月4,000円です。これでも高い方だとは思うのですが、食事療法が必要になるともっと高額になってきます。

1歳になるまでの治療費総額

ノルウェージャンフォレストキャット
“にゃー”を迎えてから1年間でかかった医療費を教えてもらいました。ワクチンや去勢などを抜いて、10~13万円くらいとのことです。

3ヶ月くらいはほぼ毎週通院して、その度に1万円くらいかかった時期もあったそうです。
ちなみに、2歳になったいまでも健康管理のために1~3ヶ月に一度は通院して、異常がないか確認しているとのことです。

ちなみに、テトとピノの最初の1年間の医療費は2頭で9,731円でした。(予防系を含めず)一時期、猫カビや耳ダニ、便秘などで病院のお世話になりましたが、どちらもどんな猫でも起こる軽度な病気です。現在は、特に問題がなければ健康診断で1年に1度だけ通っています。

生涯に渡る健康リスクの可能性

ここで、もうひとつの「ペットショップで犬猫を買うリスク」の話が出てきます。

猫の高齢期は11歳頃からはじまります。人と同じように、加齢と共に病気のリスクが増えていき、医療費がかかってくるのが一般的です。ペット保険などでも年齢が上がっていく毎に掛け金が増えていくのはそのためです。

先のことは分かりませんが、もし悪質な繁殖業者による無理な交配が行われていた場合、ペットショップから迎えたい子達には生涯にわたって健康リスクを負っている可能性があります。

つまり、普通の犬猫でさえ健康リスクの高まる高齢になった時に、果たしてどうなるのか……ということです。

有名なのはスコティッシュフォールド

ノルウェージャンフォレストキャット
例えば折れ耳で人気のスコティッシュフォールドという猫種がいます。偶然、折れ耳で生まれた個体が可愛いと人気になり、人が交配して作り出した猫種です。

しかし、折れ耳のスコティッシュフォールドは軟骨の異常により、ほとんどの確立で関節炎を発症します。そして、生涯に渡り痛みが続くのです。また、折れ耳のスコティッシュフォールドは短命な子が多いそうです。

当然ながら健康な猫に比べて医療費や通院のための時間が必要になってきます。猫の医療費は人と違って10割負担なので、その金額もかなりのものになります。

スコティッシュフォールドにそんなリスクがあることを、ペットショップの店員さんは教えてくれません。だから、知らないで家族に迎えてしまう飼い主さんがとても多いのです。

ペットショップで家族を迎えるリスクについてまとめ

ノルウェージャンフォレストキャット
今回は、私の過去の体験や友人達の話からペットショップで家族を迎えるリスクについてまとめました。

一度家族に迎えれば、どんな子でも可愛いです。けれど、もしできることならリスクは避けたいです。幸せになるために犬猫を迎えるのですから、辛いことや悲しいことも減らしたいです。なので「家族に迎える前」に知識をつける必要があります。

もちろん悪いペットショップばかりではないと思いますが、悪質なペットショップは確実にあります。有名チェーン店だからといって良心的だとは限りません。一般消費者の私たちにはそれを見極めるのは非常に難しいです。

なので、これから犬や猫を家族に迎えようと思っている方には、ペットショップではなくブリーダーか保護猫や保護犬を強くおすすめします。

正しい知識を持った飼い主さんが増えることで、健康被害に合う犬や猫や、悲しい思いをする飼い主さんが減ることを願っています。