サビがおはぎちゃんとして、無事に新しいお家での生活をスタートさせた一方……我が家ではまた、新しい猫とご縁が繋がりました。
飼育放棄で何ヶ月もケージに閉じ込められ、糞尿まみれになっていた猫。そんな猫とのお話です。
※当ブログの内容は個人的な見解や感想も含む内容になっています。『西東京市 地域猫の会』さんとは関係ありませんので予めご理解ください。
保護預りボランティア
我が家に突然やってきたサビ猫は『おはぎ』という名前をもらって、新しいご家族との生活を無事にスタートさせました。
サビ猫の譲渡に関しては『西東京市 地域猫の会』の皆さんに助けていただきました!本当に何から何までフォローしていただきありがたい気持ちでいっぱいです。
サビ猫のことをきっかけに『保護猫ボランティア』の方々の活動を間近でみることができました。我が家も猫達のために何かできることはないか……と、預かりボランティアをお手伝いさせていただくことを検討していました。
預かりボランティアとは?
保護された猫を新しい飼い主が決まるまで、一時的に面倒を見るボランティアを『預かりボランティア』と呼びます。
保護されたばかりの子は人馴れしていなかったり、家猫として暮らす準備が必要な子が多いそうです。中には病気の治療が必要な子もいます。
そんな猫達を、譲渡ができるまでお世話するのが預かりボランティアの役割です。
虐待をうけていた猫との出会い
保護されてから翌日の病院での様子。シャンプー前なので身体が汚物だらけです。
サビ猫のトライアルが順調に進んでいたある日。飼育放棄でケージに閉じ込められ汚物まみれになってしまっている猫の保護のお話を聞きました。
板張りのケージにそのまま何ヶ月も閉じ込められていたそうです。トイレもない状態でウンチやオシッコが散乱し、ドロドロに汚れしまっているとのことでした。
詳しくは『西東京市 地域猫の会のブログ』でまとめられています。ちょっと衝撃的な写真もあるので注意。
狭いケージに閉じ込め、糞尿が垂れ流し状態。必要な医療を受けさせないことは虐待に当たります。
そんな環境で数ヵ月も過ごしていたその猫は、必死に人に甘えようとしていたそうです。
我が家は在宅勤務なので猫のフォローがしやすく、甘えたがりの子に手をかけられる環境ということもあり、ボランティア団体の会長さんから「うちで預かれないだろうか」とご相談いただきました。
サビ猫がトライアル中でしたが、幸い上手く行きそうだったので急ではありましたが、虐待されていた猫を引き受けることにしました。
猫らしくない『ノル』について
元々は別の名前でしたが、新しい猫生をスタートするということで『ノル』という名前を付けました。(最初はチャシロにしようとしたら、もっと可愛い名前にしてほしい言われたので)
お母さんがスコ×チンチラでお父さんがノルウェージャンです。ノルは見た目が殆どノルウェージャンだったので『ノル』です。
汚物まみれだったのが病院でシャンプーされてキレイになっていましたが、顔周りはまだ酷くニオイました。ノルがどんな環境で暮らしていたか、このニオイだけでも想像ができます。
ノルウェージャンフォレストキャットは大型種です。ノルも顔の骨格は6kgのテトよりも大きいのですが、体重がわずか3.8kgでした。
ガリガリで骨と皮だけの状態です。ご飯を貰えていなかったのか、何かしらの病気なのか…どちらにせよ酷い状態した。
猫らしくない猫
ノルはうちに来てから一言も鳴きません。とても静かでおとなしい子です。まだ来たばかりで緊張しているとは思うのですが、あまりにも大人しすぎました。
多頭飼育崩壊など、命の危機にある環境にいた子は人へ媚びることで生きようとします。そうすることでしか生きていけないからです。
ノルも同じでした。必死に人に頭を擦り付けてきます。手を差し出すと顔を擦り付け、撫でてあげると嬉しそうにします。
それでも眠るときは部屋の中で一番高いところの箱の中で過ごします。独りで安心できる場所を選びました。本当の意味で人に甘えていると言えるのか……心が痛いです。
猫は悪くない
「オシッコをあちこちにしてしまう」という理由でケージに閉じ込められたと聞いていました。しかし、ノルは我が家に来てからきちんとトイレを使うことができました。
猫は本来キレイ好きの動物です。トイレが汚いとオシッコを我慢したり、別の場所で排泄してしまうことがあります。
適切な環境を整えてあげれば、ノルはちゃんとトイレが使える子でした。
糖尿病との闘いがはじまった
ノルの初期医療では膀胱炎が見つかりました。こちらは軽度だったので病院の処置だけですぐに良くなりました。
そして血液検査の結果『糖尿病』が発覚しました。
猫の糖尿病について
猫も人間と同じように糖尿病を患うことがあります。インスリンが上手く作用せずに血糖値が高い状態が続く病気です。
糖尿病の原因は遺伝的な要因や、ストレス、偏った食生活、運動不足……など色々と考えられますが「なぜこの子が糖尿病になってしまったのか」の明確な理由は分かりません。
糖尿病の治療には、血糖値の測定と1日2回のインスリン投与を長期的に行っていく必要があります。
採取的にはインスリン投与が不要になる「寛解」を目指しますが、そこまで行けるのおよそ3割と低い確率です。
高くなる譲渡のハードル
血糖値測定キットとインスリンや注射器
糖尿病は「完治」することはありません。仮にインスリン投与が不要になったとしても、一生気をつけていかなければならない疾患です。
耳から血を摂って行う血糖値測定と管理。1日2回のインスリンの注射は飼い主が行う必要があります。ご飯も医療食を与え、定期的な通院が必要になる非常に手のかかる疾患です。
生涯にわたってのリスク、手間がかかる、お金がかかる、注射を刺せるようになる必要がある……そうなってくると、譲渡のハードルは一気に高くなります。
ノルの新しい生活
初日の夜にようやく寛ぐ姿が見られた。
サビと同じくノルも人間の食べ物の味を知っている子でした。糖尿病でお腹が空くこともあり、とにかく人の食べ物を欲しがります。
人の食べ物は猫にとって、塩分もカロリーも高く絶対に与えてはいけません。
人の食べ物を欲しがること、猫同士の社会性があまりないこと、家猫としての暮らし方を知らないこと…問題点はいくつかありますが、どれも時間をかければ解消していけます。
課題はありますが、それでもノルはとても飼いやすい猫でした。大人しく、不器用ながらも甘えたがりで、人に対して攻撃的でもありません。
何故こんなに良い子が虐待されていたのか……。
ノルは我が家に来ることが決まってから糖尿病が発覚しました。治療に手間がかかることから「難しそうであれば辞退しても構わないですよ」と言っていただけました。
ただ一度でも我が家に迎えた子です。今更、手放すことは考えませんでした。
これからどれくらい長い期間になるかは分かりませんが……心にも身体にも傷を負ったノルを、家族の一員として一緒に暮らしていくことを決めました。
この記事の続きは「虐待されていた猫がやってきた話2」へ。