猫の飼い主さんなら一度は考えること……それは、愛猫に「何を食べさせるのか」です。
身体に取り込み続ける食べ物は、人と同じく猫にも健康に直結するものです。我が家でも猫達にはちゃんとしたものを与えて、長く健康でいて欲しいと強く思っています。
しかし、市販のキャットフードは値段も品質もピンキリで何を基準に選べばいいのか分かりません。我が家でも最初はキャットフードの選び方がまったく分からず、情報を精査するのに苦労しました。
今回は、テトとピノのために獣医師さん、ブリーダーさん、書籍、ネットなどあらゆる情報を精査して辿り着いた、我が家なりの「キャットフードの選び方」を紹介します。
ネットのランキングは信用しない
キャットフードについてネットで調べると、必ず目にするのが「キャットフードのランキング」です。私も知識がないときは、ランキングが載っているサイトの情報を参考にしたり、複数のランキングで上位になってるフードを検討したりしていました。
幸いなことに購入する前に「ランキング形式のキャットフードサイトは信憑性に欠ける可能性が高い」と言うのを知ることができました。
なぜランキングを信用してはいけないの?
まず、第一に「どのキャットフードが良いのか」はそれぞれの猫によってベストなものが異なるので、ランキングという順位づけをするのは困難です。
例えば「我が家で与えてみたキャットフードランキング」など、前提が明確ならば良いのですが、殆どのランキングサイトには順位についての根拠がありません。
それこそ、持病の疾患があったり、疾患というほどではないけれど体質的に弱い部分があったり、なんでも食べる子もいれば、食が細かったり好き嫌いが激しい子もいます。猫達にはそれぞれの個体差や好みがあるので、一概に「すべての猫にとってこれが1位だ!2位だ!」と断言はできないということです。
実はアフィリエイトの報酬ランキングだった
アフィリエイトとはネットの広告方法のひとつです。ブログやサイトなどで商品を紹介し買ってもらうことで、広告主から紹介者へ報酬が発生するシステムです。
殆どのキャットフードランキングはアフィリエイトの報酬額に準じています。上位にくるフードほど売れたときの報酬額が高くなっている傾向にあります。つまり、キャットフードのランキングの根拠は猫にとっての良し悪しなどではなく、お金が稼げる順に並んでいるだけなのです。
更に悪質なところでは高額報酬のフードを売るために「他のキャットフードが悪いものだ!」と思い込ませようとしている場合もあります。例えば「市販のフードの材料は悪質なものが使われている!」「グレインフリー以外のフードは悪だ!」などなど……。ウソの情報や根拠のない噂話を、まるで本当のことのように解説したりしています。
ペットフードのアフィリエイトについて、詳しく知りたい方は「高額アフェリエイトにご用心!そのキャットフードランキング信用できますか?」で解説しています。興味がある方は是非見てみてください。利益目的のランキングなのかどうか見極める方法なども紹介しています。
日本で販売されているキャットフードは安全なのか
環境省のHPでペットフード安全法についてのパンフレットを見ることが出来ます。
日本では2009年に『ペットフード安全法』が施行されてから、安全性や品質への規制が行われるようになりました。メーカーへの立ち入り検査や製品検査、原材料についての調査も行われています。国内で販売されるペットフードの使用するミールは国の定める製造基準に適合する事業者でなければ製造・出荷することができません。
フードの記載されている『AAFCO』って何?
AAFCO(アフコ)とはペットフードの栄養基準・原材料・ラベル表示に関する基準を公表しているアメリカの団体です。
AAFCOのガイドラインは最新情報に基づいて作成されていて、ペットフードの世界的な基準となっています。AAFCOはペットフードを選ぶ上での一定の基準となりますが、「原材料の品質」についての基準は制定されていません。そのためフードを選ぶ際には「AAFCOの基準を満たしていること」に加えて「原材料の内容や品質」も吟味する必要があります。
原材料にある『ミール』は悪い素材?
キャットフードのランキングサイトやまとめサイトなどで「原材料にミールがある商品は粗悪品である」と言う情報をよく目にしました。そもそも『ミール』とは何なのか?本当に悪いものなのか?ネットの情報通り本当に『ミール』が粗悪品なのかどうかを調べてみました。
『ミール』とは?
株式会社FYC(https://www.fycnet.co.jp/)より引用
『ミール』とは『挽く』という意味で、原材料の肉、内臓、骨を調理加工し、水分を抜いて粉末状にしたものを指します。
粉末状にすることで水分が抜け傷みにくくなり、たんぱく質、カルシウム、グルコサミン等、栄養価も高くなります。また、日本でペットフードの栄養基準としているAAFCOのミールについてのガイドラインでは、「頭部、足、内臓、羽毛、毛やヒヅメ、角、内臓の内容物(糞便など)を含まない」とされています。
我が家のテトとピノの主食は生肉ですが、その中には肉だけでなくハツ(心臓)、砂肝、手羽先の先っぽ(骨)なども含まれます。本来、鳥や小動物を丸ごと食べていた猫達にとっては肉以外の部分でも重要な栄養源です。
猫の生肉食(ローフード)について詳しく知りたい方は「猫に生肉を与える効果やメリット」をチェックしてみてください。生肉を与える点については衝撃も大きい内容ですので、個人的には積極的にオススメしてはいませんが、我が家では猫達の健康を保つための必須ご飯になっています。
『ミール』=『悪』になったのは何故なのか?
キャットフードを調べいると「ミールは病気などで死んだ動物を使っている」「人間が食べないような捨てる部分も入っている」……というような情報を必ず目にすると思います。何故、そのような偏った悪い情報ばかりが広まってしまったのでしょうか。
偏った情報が広がった背景にはアフィリエイトの報酬目的による影響が大きいのではないかと思っています。一部の海外輸入されたプレミアムフードには高額なアフィリエイト報酬が設定されています。広告費が含まれて高額になたったフードを売るために、飼い主達には国内で流通している安価なフードを選ばせないようにする必要がありました。
その結果、「ミールを使っているキャットフードは悪いモノである」という煽り文句が定着し、「ミールは悪いモノである」という認識だけが広まってしまったのではないかと推測します。
グレインフリーじゃなきゃダメ?
キャットフードについて調べると、よく目にするワードとして『グレインフリー』というものがあります。イネ科の穀物が使われていないキャットフードという意味ですが、実際には『グレインフリー』のフードを与える必要はあるのでしょうか?
結論から言うと、健康な猫であれば『グレインフリー』である必要はありません。
植物には猫にとって重要な栄養素がいっぱい
「肉食の猫には植物は不要だ!」と言われがちですが、植物にも猫にとって重要な栄養素がたくさん含まれています。
例えば、穀物に含まれる炭水化物は、身体や脳を動かすエネルギー源として適量が必要です。トウモロコシは食物繊維、ミネラル、ビタミン類、メチオニン(アミノ酸の一種で尿のphを調整)などの栄養素が含まれています。コーンや小麦の胚芽は抗酸化成分を多く含んでいるので、高齢の猫には最適です。
ネットでは「グレインフリーじゃないフードは悪だ!」というような意見も見られますが、これもアフェリエイトでグレインフリーのフードを売るために広まってしまった悪質な噂話の一つです。
キャットフードのグレインフリーについては「キャットフードはグレインフリーであるべきなの?」でより詳しくまとめてあるので、興味のある方は是非読んでみてください。
キャットフードメーカーの選び方
「ランキングサイトを鵜呑みにするのは危険」「グレインフリーが健康に良いわけではない」と分かったところで、我が家がたどり着いたメーカーの選び方を紹介します。
テトとピノのために、獣医さんやブリーダーさん、複数の書籍やネットなどからたくさんの情報を集めて精査した内容になります。
キャットフードを選ぶ時には、先にメーカーのことを知っておくのがお勧めです。以下の3つの基準を参考にメーカーを絞れば、自ずと品質の良い安全なキャットフードを選ぶことができます。
- 自社での研究開発に力を入れている
- 長い歴史と実績がある
- 「ペットフード公正取引協議会」に加入している
- 成分規格や表示を守っている
- 問い合わせにしっかり対応してくれる
自社での研究開発に力を入れている
良質なキャットフードを作る上で重要なのが、猫の健康や栄養に関する研究と開発です。
獣医師や栄養学の専門家によって、猫の健康やフードについての研究が行われていること。また、多数の犬猫を飼育した上での継続的な観察や研究をしているかどうかも重要です。
やはり自社で専門家によって研究開発を行えるというのは、常に最新の研究結果を元に良質なフードが作られるため、フードを選ぶ理由のひとつになります。
長い歴史と実績がある
「長い歴史と実績がある」ということは、長い間ペットフードについての研究開発を行い、その実績を積み重ねてきたという信頼に繋がります。
そのメーカーがどれだけの年月をかけて研究開発を続けてきたのか。世界中でどれだけの国に流通しているのかなども、判断材料のひとつになります。
『ペットフード公正取引協議会』に加入している
『ペットフード公正取引協議会』に加入している=製品ラベルの表示方法を定めた自主基準に従っているメーカー……ということです。
フードパッケージの裏などに描いてある表示のことですね。例えば、総合栄養食の表示義務、内容量や成分、原材料名や原作国などの9つの表示義務、原材料の重量順の表示義務です。
『ペットフード公正取引協議会』への加入は任意であり、未加入で規約を守らなくても罰則はありません。加入企業についてはペットフード公正取引協議会のHPで確認できます。メーカーを選ぶ上での一つの判断材料として活用できます。
成分規格や表示を守っている
ペットフード安全法に従い、成分規格や表示をちゃんと守っているかどうかは企業への信頼を見極めるポイントのひとつです。
農林水産省消費安全技術センター(FAMIC)ではメーカーや販売業者に立ち入り検査を行っています。その結果はFAMICのHPで確認可能です。毎月10~50前後のペットフードに関する業者に立ち入り検査を行い、違反がないかを監視しています。
問い合わせにしっかり対応してくれる
「フードを開発しているメーカーに直接問い合わせができる」と言うのも重要です。海外の製品を輸入代理店が輸入しているフードもありますが、メーカー自身が日本に窓口を持っていないと直接問い合わせができないということもあります。
消費者側の疑問や不安に、どれだけ真摯に対応してくれるのか、専門的な疑問にも答えてくれるのか、問題解決をしてくれるのか……なども、メーカーの消費者への向き合い方を見るのに重要です。
キャットフードの選び方
メーカーをいくつかピックアップしたところで、今度はそこから愛猫に合ったフードを探していきます。
『総合栄養食』と『一般食』を理解する
まず、飼い主さんが理解しておくべきなのは『総合栄養食』と『一般食』の違いです。『総合栄養食』は主食として与えるもの。『一般食』はおやつなど、主食とは別に与えるものです。
殆どのフードにはパッケージに『総合栄養食』や『一般食』という表記がされています。間違えて『一般食』を主食に選んでしまわないように注意してください。
年齢に合ったフードを選ぶ
キャットフードは仔猫用、成人猫用、高齢猫用と年齢別に分かれていることが多いです。仔猫のうちは成長のために栄養素が配慮されていたり、高齢猫には過剰なカロリーにならないようにされていたりと、それぞれのライフステージに合わせて作られています。
最初のうちは何をあげたらいいか分からない場合もあると思うで「取り合えず年齢に合ったフードを選んでおく」というのでもOKです。
体質や体調に合ったフードを選ぶ
フードの中には歯石や毛玉に配慮されたものや、消化が苦手な子、尿路下部の病気が心配な子など、健康面をフォローしてくれるものがあります。健康診断や日々の生活の中で気になる点がある場合は、それをフォローしてくれるフードを選ぶのも良いです。
テトは食べるのが大好きなので避妊・去勢後フードで太らないように。ピノは便秘になりやすいので消化に配慮されたフードや、食欲増進系フードなどを選んでいます。
猫の好みに合ったフードを選ぶ
猫の嗜好は仔猫の頃に食べていたものに左右されますが、人と同じくそれぞれ好みがあるようです。フードの粒の形や大きさ、チキンやお魚などのフレーバー、メーカーの種類…など、どのフードを好むかは猫次第。
我が家ではテトは比較的なんでも食べますが、ピノは好き嫌いがあります。嫌いなフードは残してしまうので、好みが合うことも重要です。
我が家の厳選キャットフードを紹介
我が家で選んだきたフードを紹介します。理由も添えてあるのでフード選びの参考にしてみてください。
ピュリナワン
最初に選んだのがピュリナワンのキャットフードです。
理由は、フードを選ぶ5つのポイントを満たしているいる上で、比較的手頃な値段だったのが大きいです。また、ピュリナ社はペットフード取り扱いの歴史も長く、自社でしっかりと研究開発を行っているメーカーのひとつです。
ネット上の情報では「悪質なミールを使用している」「穀物が入っているからダメ」などの情報がありましたが、そういった情報は前述した通り根拠のないデマでした。
「ちゃんとしたフードを食べさせたいけど、お財布に余裕がない…」というお家には『ピュリナワン』が良いと思います。
『ピュリナワン』については「ピュリナワンについて調べてみた」で詳細にまとめてあります。気になる方は是非チェックを!
ロイヤルカナン
次に試したのが『ロイヤルカナン』でした。フードを選ぶ3つのポイントを抑えており、歴史も長くキャットフードのパイオニア的存在のブランドです。ブリーダーさんにもオススメ
ネットで気になる噂(韓国製になる、発がん性物質が使われている)が合ったので後回しにしていました。色々と調べたところ噂は一部のアフィリエイターによる悪質なデマであり、良質なフードと判断して選びました。(噂に惑わされずに仔猫のうちから与えておけば良かったな…とも思っています)
「総合栄養食」と「療養食」があり、どちらも誰でも購入できるようになっています。ただし「療養食」については飼い主判断で与えてはいけないフードです。必ず獣医師の指導のもと与えて下さい。
『ロイヤルカナン』については「ロイヤルカナンについて調べてみた」で詳細にまとめてあります。気になる方は是非チェックを!デマの詳細やグレインフリーを作らない理由についても調べてあります。
ヒルズ
引用:ヒルズ公式HP(https://www.hills.co.jp/)
『ヒルズ』も獣医師推奨の『ロイヤルカナン』と同じくらいのクオリティを持つフードです。ブリーダーさんにもオススメされました。
『ヒルズ』はAmazonと協賛企業のため、定期的にAmazonで半額セールがやっています。ピノのように「どうしても他のフードじゃなきゃダメ!」というわけでなければ、お安く買える機会があるのも重要ですね!
キャットフードの選び方まとめ
テトとピノを迎えてから1年以上が経ちました。その間、飼い主としてずっと一番に考えていたのが「キャットフード」についてです。調べているうちに、我が家と同じ悩みを持つ飼い主さんがたくさんいることも知りました。
そこで、「キャットフード」について、テトとピノのために学んで調べたことを集大成として今回の記事にまとめることにしました。
家族の食事に悩む飼い主さんの手助けになると嬉しいです。