猫の飼い方

猫に生肉を与え続けること。経験と栄養学、科学的根拠の間で悩む飼い主

我が家のテトとピノは同じブリーダーさん出身です。そのブリーダーさんのところでは、主食が鶏の生肉でした。

その影響もあって、我が家でも主食のひとつとして生肉を食べさせてきました。

しかし、まだ生肉を食べさせることについては、一般的に色々な見解がある状態です。

我が家でも猫の栄養学を学んだり、複数の獣医さんの考え方を聞くなど「猫に生肉を与え続ける効果とリスク」について情報を集めてきました。

今回は、猫に生肉を与え続けることについて、学んだことを紹介します。

参考著書
「犬と猫の栄養学」著:奈良なぎさ/緑書房
「猫の寿命は8割がごはんで決まる」/双葉社

生肉を猫が食べても平気なの?

猫に生肉を与えるメリットとデメリット
猫は完全肉食動物です。そのため、身体の構造としては生肉を食べられるようにできています。

盲腸がないため食物繊維を上手く利用できず、代わりに小腸が発達し肉や魚を消化・吸収するのに最適な構造となっています。

猫に与える生肉といっても、鹿や牛、鶏など色々な種類がありますが、このブログでは鶏=生肉として紹介します。

テト
テト
身体の小さな僕らのご先祖様が食べていたのは鳥やネズミ、ウサギなどの小動物だからにゃ!

生肉を与えて感じた効果

猫に生肉を与えるメリットとデメリット
我が家の猫達は生まれた頃から生肉を当たり前に食べてきました。実際に生肉を食べ続けて感じている効果を紹介します。

  • 毛艶が良い
  • 爪が伸びるのが早い
  • ウンチの量が減り、ニオイも軽減
  • 歯垢が溜まりにくい

更に、ブリーダーさんのところでは今まで一定の割合で起こっていた「猫の尿路下部の病気が激減した」という効果を実感されているそうです。

猫にとって生肉は消化吸収がしやすく、胃や腸に負担をかけにくいことが特徴です。

加熱しない利点

生で与える利点としては、加熱することで失われてしまう栄養をそのまま与えることができるからです。

特に重要なのが『酵素』です。酵素とは生きていくために不可欠なものなのですが、この酵素は熱を加えることにより変性して活性を失ってしまいます。

また、猫は体内で作れる『タウリン』の量がごく微量です。充分なタウリンを食事から摂取する必要があるのですが、タウリンは加熱処理すると吸収効率が大幅に悪くなります。

生肉に含まれる栄養を知ろう

鶏肉は、低カロリーでアミノ酸バランスに優れた消化吸収の良いたんぱく質が豊富です。毛や肌、内臓など体のあらゆる部分に必要な栄養を含んでいます。

猫に食べさせる生肉は、鶏のムネやササミが中心になります。我が家ではそこにハツ、砂肝、手羽先の先を加えたブリーダーさん特性の生肉を購入しています。

鶏むね肉(皮なし)100gの栄養

  • カロリー:108㎉
  • たんぱく質:22.3g
  • 脂質:1.5g
  • 炭水化物:0g

猫に生肉を与えるメリットとデメリット
鶏むね肉に含まれるビタミンB6は酵素を助けて代謝を促進させたり、皮膚を丈夫にしたり、免疫細胞や神経の強化、血液中の赤血球を作る働きがあります。

その他、ナイアシンには皮膚や粘膜の健康維持を助ける働きがあります。パントテン酸は代謝とエネルギー産生に必要な酵素を補助します。ビタミンKは骨の健康維持に効果があります。

ミネラル類としてはリン、カリウムが多いです。リンは主に歯や骨を作ります。カリウムは体内の状態を維持するのに役立ちます。

鶏ササミ肉100gの栄養

  • カロリー:105㎉
  • たんぱく質:23g
  • 脂質:0.34g
  • 炭水化物:0g

猫に生肉を与えるメリットとデメリット
ササミは肉類の中でもトップクラスの高栄養、低カロリー食品です。消化に良く胃腸に優しいのも特徴です。

鶏むね肉と同じくナイアシン(皮膚や粘膜の健康維持)、パントテン酸(代謝とエネルギー)、ビタミンB6(代謝促進、皮膚、免疫や神経の強化)が多く含まれます。

ミネラル類として含まれるセレンは酵素や抗酸化作用に重要は働きをし、モリブデンは有害物質を分解したり、「血のミネラル」として鉄分の働きを強めたり、造血に関わります。

砂肝100gの栄養

  • カロリー:94㎉
  • たんぱく質:18.3g
  • 脂質:1.44g
  • 炭水化物:0g

猫に生肉を与えるメリットとデメリット
砂肝の殆どは筋肉でできています。低カロリー・高たんぱく質で、健康に必要な栄養がたくさん含まれています。他の部位に比べて鉄分が多いのが特徴です。

砂肝に含まれるビタミンKは怪我をしたときなどに血を止めるための止血因子を活性化します。また、骨の形成をうながす作用があり、骨の健康維持にも不可欠です。

更に、ビタミンB12は血を作ったり、脳からの指令を伝える神経を正常に保つ働きをします。

ミネラル類で多く含まれる亜鉛は細胞の生まれ変わりを助け、身体を機能させるために不可欠です。鉄分は血液を作ります。

ハツ(心臓)100gの栄養

  • カロリー:207㎉
  • たんぱく質:14.5g
  • 脂質:15.5g
  • 炭水化物:0g

猫に生肉を与えるメリットとデメリット
鶏ハツはたんぱく質より脂質が多いのが特徴です。栄養成分が豊富に含まれています。

ハツに多く含まれるビタミンAは発育促進、肌の健康維持、粘膜などたくさんの重要な役割を持っています。

ビタミンB2は皮膚や粘膜の健康維持を助けたり、取り込まれた栄養素をエネルギーに変えるなどの代謝を支える重要な働きをしています。

他にもビタミンK(止血、骨の形成と健康維持)、ナイアシン(皮膚や粘膜の健康維持)、ビタミンB12(血を作る)、パントテン酸(代謝とエネルギー)が多く含まれます。

ミネラル類では鉄分(血液を作る)、亜鉛(身体を機能させる)や、血液中の赤血球を作るための銅が含まれます。

手羽先ガラ

猫に生肉を与えるメリットとデメリット
鶏の手羽先は高たんぱくですが、脂質も多いため、猫には脂質の少ない手羽先の先の部分(手羽先ガラ)を与えます。

手羽先にはビタミンK(止血、骨の形成と健康維持)やナイアシン(皮膚や粘膜の健康維持)が豊富に含まれます。

また、骨まで与えることで歯や骨に必要なカルシウムや、鉄分(血液を作る)、亜鉛(身体を機能させる)なども摂取することができます。

テト
テト
僕らが食べてる手羽先はミキサーに2度引きしてるにゃ!骨や骨髄まで頂いてるにゃ!

猫に必要な栄養を知ろう!

猫に生肉を与えるメリットとデメリット
ここまで生肉に含まれる栄養と、その効果を紹介してきました。

生肉には良質なたんぱく質をはじめ、身体を正常に機能させるために不可欠な栄養がたくさん含まれていることが分かりました。

テト
テト
それじゃあ、とにかく生肉をたくさん食べればいいにゃ?
ピノ
ピノ
ちょっと待って、ちょっと待って、お兄たん!それは危険な考えなんだからねっ!

猫に必要な栄養

猫には人と同じく生きていくために必要な6大栄養素というのがあります。

  • 炭水化物
  • たんぱく質
  • 脂肪
  • ビタミン
  • ミネラル

猫に生肉を与えるメリットとデメリット
6大栄養素を偏ることなく、バランス良く摂取させることが猫の健康には重要です。

6大栄養素のうち、猫にとって最も重要なのは『たんぱく質』です。猫はたんぱく質をエネルギー源にしているので、人や犬よりも多くたんぱく質が必要です。

生肉にも豊富に含まれている『たんぱく質』ですが、生肉ばかりに偏った食生活はたんぱく質の過剰摂取になると考えられます。

たんぱく質の過剰摂取は肥満、腎臓や肝臓疾患などに繋がります。

逆に、たんぱく質が足りないと…成長不良、食欲不振、貧血、被毛の劣化、体重減少などが起こります。

猫の1日の食事で必要なたんぱく質の量は成猫では26%以上、仔猫では30%以上くらいです。

生肉食の最大の敵は『菌』

猫に生肉を与えるメリットとデメリット
人は生の鶏肉を食べることができません。何故なら『菌』の問題があるからです。

猫については、肉食動物であったことから人よりも胃酸が強く、生肉を食べてもすぐにお腹を壊したりすることはありません。

ただし、生肉には冷凍しても死なない菌が存在します。

長年、生肉を与え続けることで10年後、15年後に肝臓に問題がでてくる可能性があると指摘する獣医師もいます。

テト
テト
肝臓には解毒作用を行う働きがあるんだにゃ!
ピノ
ピノ
長い間、肝臓に負担をかけ続けた場合、何かしらの影響が出るの心配があるんだからねっ!

もし『菌』が心配ならば火を通して与えるのが良いそうです。

生肉を与え続けるかどうか考える

猫に生肉を与えるメリットとデメリット猫の生肉食はここ近年で一般にも浸透してきました。しかし、まだ分からない部分も多く、長く食べ続けたときの影響についても情報が不十分です。

我が家では、生まれながらにして生肉を食べていた猫を迎え、つい最近まで生肉と市販のドライフードを主食として与えていました。

その間も、生肉を与えることについての情報は調べ続けており、お会いする獣医師さんには必ず生肉についての見解を伺ってきました。

今回、お話をさせてもらった獣医さんの「たんぱく質過多による腎臓への負担」と「生肉の菌による肝臓への負担」については、無視できない内容でした。

もし生肉を続けるなら

もし、今後も生肉を与え続けるのなら、飼い主としては栄養バランスの知識を学び、たんぱく質過多にならないよう管理する必要を感じています。

市販のフードに生肉を追加するだけでは、やはり高たんぱくになります。

更に、猫は体内で作れない栄養が多いという点もあるため、猫の手作りフードはなかなかに難しいとも考えます。

猫に生肉を与えることのまとめ

猫に生肉を与えるメリットとデメリット
今回、お会いした獣医さんのお話は、今までお話させていただいた方の中で、一番ストンと自分の中に落ちるものでした。

「ああ、なるほどな、確かに…」と感じたのは事実です。

私の中で、愛猫や保護猫の命に責任を持ち、このブログを運営していく上で常に決めていることが「どんな人の話も最大8割までしか信用しないようにする」です。

獣医師も専門家も、考え方や経験はそれぞれ違うことがあります。誰か1人の話だけを妄信することは、自分の知識を拡げることを止めてしまい、リスクになると考えているからです。

今後も生肉をはじめ、猫のことについては色々な人の見解を聞いていき、自分の知識を深めていきたいです。

これからの我が家のご飯

キャットフードを正しく選ぶ方法
今後、我が家では生肉は量を減らし、主食のカリカリの添えるカタチで与えていくことにしました。

レンジで加熱して火を通しても嗜好性は高いので、おやつとしてもアリだと思っています。

生肉は猫の食いつきも良く、ドライフードに比べても消化がしやすく、その効果は非常に魅力的なことに変わりありません。

今後も猫の生肉食については、色々な獣医師や専門家の見解を聞き続けていこうと思っています。その時はこのブログも情報を更新していきます。

おまけ:生肉食ブームはどこから来たの?

ベンガル猫に生肉を与える効果
テトとピノを迎えたばかりの2018年頃、日本ではまだ猫に生肉を与えるということについては殆ど認知されていませんでした。

日本はペットやそのフードについては、海外と比べると後進国です。

今、流行っている『グレインフリー』『ヒューマングレード』などのフードは、海外から入ってきているものです。

生肉も同じで、生肉食=ローフード(英語:raw food)と言って、海外から流れてきた文化のひとつになります。

ペットを家族同然と考え「ペットが食べるモノにもお金をかけてこだわりたい!」という感覚が、日本にも浸透し始めてきています。