猫に関心があるなら一度は耳にしたことのある『保護猫ボランティア』という言葉。実際にどんな活動をしているのでしょうか。
なんとなく「猫を助ける有志の団体」「猫の譲渡会をしてるところ」ということは分かるのですが、詳しい活動内容については意外と知らなかったりします。
そんな『保護猫ボランティア団体』についての仕組みをさっくり解説します。
保護猫ボランティアとは?
『保護猫ボランティア』とは不幸な猫を1匹でも多く減らすため、TNRや保護、譲渡の活動を行なっている個人や団体のことです。
規模はそれぞれ異なりますが、大抵の区市町村にはその地域に特化した保護猫ボランティアの団体があることが多いです。
猫の保護や譲渡だけでなく、迷い猫の捜索のお手伝い、地域に住む人からの野良猫の相談や、飼育放棄や多頭飼育崩壊の解決のお手伝いなども行なっています。
保護や譲渡ってどんなことするの?
子猫や人に慣れている成猫はできるだけ保護して、新しい飼い主さんを探す活動します。
また、病気で治療が必要な子は治療や療養のために。猫エイズや白血病などの感染症は病気の拡大を防ぐためにできる限り保護します。
保護をした猫達は必要な医療を受けさせ、獣医師の許可がでれば新しいお家を探します。
野良猫は人のせいで生まれた
私たちが街中で目にする猫達はみな愛玩動物として人に飼われるために生まれてきました。
無責任な人が猫を捨てることで、野良猫として生きていかなければならなくなってしまった子達が繁殖し続けて、現在に繋がっています。
野良猫の平均的な寿命は8年くらいといわれています。病気や交通事故、虐待などによって、飼われている猫の半分くらいしか生きられません。
街中に野良猫がいることが当たり前に感じてしまう日本ですが、実は野良猫達の暮らす環境はとても過酷です。
TNR活動について知ろう!
人慣れをしていな野良猫などは、人と一緒に暮らすのが難しいため地域で見守る方法がとられます。
野良猫を捕獲して(トラップ)、避妊や去勢手術を受けさせ(ニューター)、再び元の場所に戻す(リターン)、ことを『TNR活動』と呼びます。
元の場所に戻された猫は地域猫として、近隣の方がご飯をあげて面倒を見ます。1代限りの命にすることで、過酷な環境で生きなければならない猫を減らしていくためのものです。
去勢避妊が済んでいる印として耳にV字のカットを入れます。オスは右耳、メスは左耳をカットします。『サクラ耳』『サクラカット』などとも呼ばれます。
もし街中で耳の先がV字にカットされている子がいたら、その子は誰かに見守られて生きている猫です。
ボランティア活動は寄付と自己負担
保護猫ボランティアの殆どが、その費用は自己負担で賄っています。地域公認の団体や法人化しているところになると、地域の方からの寄付や募金なども活動資金となります。
※地域や団体によって多少異なります。活動資金については各団体のHPなどて説明されています。
ちなみに「飼い主のいない猫の去勢避妊手術」を各自治体が一部負担するシステムもあります。
ただし、補助されるのは去勢避妊の手術代のみで、予算も限られています。そのため助成金で足りない分は、個人が負担することとなります。
※団体にもよりますが、猫の医療費については保護主、ボランティア、譲渡が決まれば新しい飼い主に請求…など、状況によって様々です。
団体の規模は地域によって様々
保護猫ボランティアは行政や会社などと違って、誰かが管理している団体ではありません。
猫が好きで、猫を助けたいと思う個人が有志で集まって無償で保護活動をしている場合がほとんどです。
ボランティアメンバーはみんな普段は仕事していたりするので、空いた時間でできる限りのことをしてきます。
一人では難しいことも、複数人集まれば解決できることが沢山あります。「猫を助けたい」という意志のもと、それぞれが力を合わせて活動しているのが『保護猫ボランティア団体』です。
そのため、保護活動の規模にも限りがあり全ての猫を救えるという状況ではないのが現状です。
保護猫ボランティア団体ができること
ボランティア自身が猫を助けることもありますが、基本的には地域の方々からの相談事をお手伝いしています。
たまに保護猫ボランティア団体のことを勘違いしている人がいるのですが、ボランティア団体は猫のことを丸投げできる組織ではありません。
「猫が逃げた!お金払うから見つけて欲しい」「お金は負担したくないけど猫をどうにかして」というような丸投げはご遠慮ください。
ボランティアができるのは、あくまでお手伝いです。団体として活動はしていますが、その中の人達は「猫を助けたい」という思いを持った一般市民です。
ボランティア団体だから猫を保護するシェルターを完備していたり、猫の専門家がいたり、猫のためなら何でも請け負えるとか、そんなことはなく…「猫を助けて欲しい」と依頼してきた人と同じ『個人』の集まりなのです。
猫を助けたかったら覚悟は必要
もし、野良猫に出会ってしまってその子を保護しようと思ったとき。主体となって動くのは猫を助けたいと思った人自身です。
お金や時間を使う覚悟、猫の幸せを見届けるまで命に責任を持つ覚悟が必要です。
初めて猫を保護すると分からないことだらけです。そんな時に保護猫ボランティアに相談すると、手助けをしてもらえます。
猫との暮らし方、避妊去勢手術の助成金について、譲渡のサポートなど…個別の状況にその時できるこもを最大限フォローしてくれます。
もし、猫を拾ってしまってどうしていいか分からないときや、怪我をしている野良猫を見つけたとき……自分一人で全てを背負うのは難しいです。そんなときに寄り添って手助けしてくれるのが保護猫ボランティアです。
保護猫ボランティア団体まとめ
『保護猫ボランティア団体』はその名の通り、有志で集まった方々が猫のために活動するボランティアの集まりです。
みんな猫が大好きで、猫を助けたいと思う気持ちが原動力になっています。
一人では難しいこともみんなで力を合わせればできることが増えます。そのために、団体として活動しています。
もし、飼い主のいない猫のことで困っていたらボランティア団体に相談してみてください。きっと力になってくれるはずです。
我が家でもサビ猫を保護した際には、いくつかのボランティア団体に問い合わせを行いました。
サビの場合は緊急性が高くなかったのと、コロナでどこも手一杯な時期でもあり……手伝ってもらえる団体を見つけるのに少し苦労しました。
結果的には西東京市の保護猫ボランティア団体(西東京市 地域猫の会)の方々に助けていただき、無事に素敵な飼い主さんを見つけることができました!
ちなみにサビ猫を保護して譲渡するまでについては「見知らぬ猫がやってきた」シリーズで公開中です。保護してからの具体的な対応や必要な医療、譲渡までの道のりをまるっと見ることができます。