猫の飼い主さんなら必ず悩むのが「どのフードを主食にするべきか」だと思います。我が家はブリーダーさんの経験とアドバイスから生肉とカリカリを主食に選びましたが、そのカリカリを何にするか相当悩みました。
『グレインフリー』というキーワードは愛猫のご飯について調べた方なら目にしたことがあると思います…ネットでは漠然と推奨されている様に感じる『グレインフリー』ですが、本当に意味はあるのか、デメリットはないのか……と疑問を持ったので調べてみました。
グレインフリーとは?
『グレインフリー』とは穀物が入っていないということを意味します。しかし、一般的なペットフードでの『グレインフリー』は、穀物の範囲が通常とは異なります。 本来、穀物といえば米や小麦、芋や豆類などのことを指します。
しかし、多くのペットフードでの『グレインフリー』の穀物とは、イネ科の植物(米、小麦、大麦、トウモロコシ)をのみを指します。
「消化がしにくい」は嘘?
グレインフリーのフードでよく目にするキャッチコピーのひとつとして『消化に良い』というのがあります。 穀物は猫にとって消化しにくく、それを覗くことでお腹に優しいフードという意味ですが、本当にそうなのでしょうか。
結論としては、水と一緒に加熱処理されているキャットフードの穀物は、肉食の猫でも消化することができます。そのため、「グレインフリーではないフードは消化がしにくい」ということはありません。
人が米を炊いたり、パンを焼いたりするのと同じで、生では消化しにくい穀物も水と加熱処理をすることでアルファ化されているので、問題なく消化できるようになります。
「猫は肉食だから穀物は害」は嘘?
穀物は人と同じく、猫にとってもすぐれた栄養源となります。例えば穀物に含まれる炭水化物は、身体や脳を動かすエネルギー源として適量が必要になります。
他にも、トウモロコシは食物繊維、ミネラル、ビタミン類、メチオニン(アミノ酸の一種で尿のphを調整)などの栄養素が含まれています。コーンや小麦の胚芽は抗酸化成分を多く含んでいるので、高齢の猫には最適です。
様々な効果をもたらしてくれる穀物は、栄養成分の調整の役割を果たしています。
歴史の長いペットフードメーカーは何十年にも渡り、猫にとって必要な栄養素を研究し続けてきました。植物や穀物が持っている栄養素は猫にとっても重要であり、カサマシや値段を安くするために入れているわけではないのです。
グレインフリーのデメリット
穀物は猫にとって必要な栄養素だと考えた時、逆にグレインフリーのフードのみを与え続けるそとで、何かデメリットはあるのでしょうか?
値段が高い
通常のキャットフードに入っている米やトウモロコシなどは、キャットフードの形を作ったり、猫にとって必要な栄養を調整するめには必要にです。
グレインフリーの場合は、比較的安価な米やトウモロコシを使えないので、代わりに豆類などを多く入れるなどしてその役割を補っています。 そのため、グレインフリーのフードは同じ質の原材料を使っていたとしても、通常のキャットフードよりも値段が高くなる傾向にあります。
グレインフリーが心臓病に関連する可能性
最近の研究で「グレインフリーのフードは犬や猫の心臓病と関連がある可能性がある」という研究結果が海外から出されました。まだ研究は限定的であり、経過途中のためハッキリと結論が出ているわけではありませんが、報告ではグレインフリーのフードに多く使われているえんどう豆やレンズ豆が関連しているそうです。
今後の研究結果が待たれる状況ではありますが、穀物アレルギーのない犬や猫に対しては『グレインフリー』にこだわり過ぎる必要はないのかもしれません。
未知な部分が多い
最近になって登場したグレインフリーのフードですが、何十年も与え続けることによってどんな影響があるかは、まだ未知な部分もあります。 心臓病との関連の可能性が出てきたように今後も良い面でも、悪い面でも、新しい発見が出てくる可能性があります。
グレインフリー至上主義はどこから始まったのか
「グレインフリーのフードが良いフード、穀物が入ってるフードは悪いフード」という極端な見解が広まった理由について。個人的な見解ですが、アフィリエイトによるネットでの情報拡散が大きな要因だと考えています。
アフィリエイトでは海外のフードを輸入している日本の業者により、グレインフリーのペットフードの報酬がかなり高く設定されています。そのことから、報酬目的のアフィリエイターがこぞってグレインフリーを勧めるネット記事を量産し、検索結果の上位に表示されるようになりました。
中には悪質な記事も多く、不安を煽るような古い情報や不確定な情報を掲載することで、「グレインフリー以外のフードは危ない!」と認識させるような記事もありました。
グレインフリーのキャットフードについてまとめ
グレインフリーのフードが悪いフードとは考えていませんが、穀物アレルギーなどがない健康な猫は「グレインフリーにこだわる必要はない」というのが我が家の結論です。
近年、起こっている『グレインフリー』ブームの影響で、一部では穀物を含んでいる良質なフードが「悪いものではないのか?」という疑念が起こっていました。「今まで食べさせていたフードが悪いモノかもしれない!」と思う飼い主さんの不安の気持ちは、我が家でも人ごとではありませんでした。
結果的に何ヶ月にも渡り、情報を集め、ブリーダーさんや複数の獣医さんの見解を聞いたりして、ようやく我が家での結論として今回の記事にまとまりました。今後も猫の食事については、テトとピノのためにも、勉強と情報収集を続けて行きたいと思います。
参考
ROYAL CANIN 犬と猫の栄養成分辞典「ペットフードに穀物は必要?」
Hill’s「グレインフリーはすべてのペットに最適でしょうか?」
AFP BB NEWS「グレインフリーの餌、犬の心臓病と関連か」
梅原考三「猫の寿命は8割が”ごはん”で決まる!」