ピノが生後半年頃に猫カビに感染してしまいました。猫カビはどんな猫でも感染する可能性のある、ちょっとやっかいな皮膚疾患です。
獣医さんと相談して病院が苦手なピノのために、通院せずに真菌検査や治療を行うこととなりました。今回は猫カビの基礎知識と実際に行った真菌検査や治療内容、掛かった費用などをまとめて紹介します。
始まりは一つのハゲ
ピノに最初のハゲが見つかったのは避妊手術の時でした。獣医さんが見つけてくれて「真菌の疑いあり」ということで、軟膏のお薬を処方されました。 最初のハゲはすぐに回復し、毛も生えてきて安心していたところ、更に2つのハゲが出来ているのが見つかりました。
ひとつは耳の後ろで少し大きめのハゲ。もう一つは首元で、こちらはカサブタが剥がれてハゲが出来ました。 獣医さんとブリーダーさんに患部の写真を添付して相談したところ「真菌の可能性が高い」ということで、本格的な検査と治療を開始しました。
ピノの抜け毛。ごっそり皮膚ごと毛が取れてしまった。
猫カビはどんな病気?
正式名称は『皮膚糸状菌症』と言います。読み方は(ひふしじょうきんしょう)です。 真菌(カビ)が感染することにより、ハゲたり、カサブタができたり、フケが出たりする皮膚病です。
痒みや痛みはないのですが、あちこちに感染が拡がったり、他のばい菌などが感染すると赤く炎症を起こしたりします。再発の可能性もあり非常に厄介な病気です。他の猫や人間にも感染する恐れがあるため、早めの治療が必要です。
猫カビになる原因は毛繕い不足?
猫カビの原因である真菌はどこにでも存在する菌です。免疫力の低い猫が感染すると症状が現れるため、仔猫や高齢猫の発症率が高いです。免疫力が高ければ菌に触れても感染せず、仮に感染したとしても自然治癒する子もいます。
主な感染原因は人や猫から直接移る『接触感染』、感染してる人や猫が触れた物から移る『間接感染』、そして感染している母猫から生まれた『母子感染』の3つです。
ブリーダーさん曰く、毛繕いが苦手な仔猫などは菌が留まってしまい発症することがよくあるそうです。(確かにピノに猫カビができた場所はどこも自分で毛づくろいしにくそうな部分ばっかり……)
自宅でできる真菌検査キット!
避妊手術で相当病院を怖がっていたピノ。メールで患部の写真を添えて出来るだけ通院はしたくないことを獣医さんに相談したところ、自宅でも可能な検査キットを送ってもらいました!
皮膚糸状菌鑑別用培地『ダーマキット』
犬や猫の皮膚糸状菌状の原因菌を鑑別するためのキットです。一般では販売されていません。説明書も付けてくれたのですが、専門家用でちょっと難しく書かれています。
ダーマキットを使って猫カビ検査
ピノの皮膚がついた抜け毛を取っておいたので、そのまま培養することにしました。ピンセットを熱湯消毒してから、寒天で固めた黄色い溶液に押し付けます。
押し付けすぎて寒天が割れました。 軽く蓋をして暗所にて保管します。結果が分かるまで1週間~10日程かかります。
10日後です。寒天が赤色に変色して陽性反応がでました。寒天の上にはカビのようなものが発生しています。ほぼ間違いなく真菌です。
猫カビの治療方法と治療経過記録
猫カビの治療は飲み薬と塗り薬のどちらかになります。飲み薬の方が効きますが、価格が高く、少ないながらも肝臓に負担がかかります。 ピノは避妊施術の際の血液検査で若干ですが肝臓の数値が基準値を超えていたため、獣医さんの勧め通り塗り薬を選びました。
軟膏は『ケトコナゾール クリーム』が処方されました。人間にも使えるジェネリック品です。
使い方は以前、処方された次亜塩素酸水で患部を消毒し、ハゲより一回り大きいくらいの面積に『ケトコナゾール』を塗り込みます。
治療経過記録
検査キットで結果が出る前に治療を開始しました。1日1回、患部を消毒して薬を塗ります。今回もエリザベスカラーは猫に多大なストレスを与えるため使いません。獣医さんからも特に必要だという指示はありませんでした。
治療開始1日目
皮膚と一緒に毛がごっそり抜けてできた首元のハゲ。カサカサしていてフケも出ています。
こちらは耳の後ろにできた広範囲のハゲ。
治療開始25日目
首元のハゲです。皮膚が見えていた部分が黒っぽくなっていますが、よく見ると小さな毛が生えてきているようです。
こちらは耳の裏。ちょっと分かりにくいですが、細い毛がふんわりと生え始めました。
治療開始50日目
3カ所とも毛がしっかり生えてきて、猫カビが完治しました。何故か白交じりの毛が生えてきているのですが、獣医さん曰く「血筋に白い毛の子がいて、その遺伝が出て来てるのかな?」とのことでした。
皮膚と一緒に毛が抜けた首元のハゲです。すっかり毛が生えました。
こちらは広めのハゲが出来ていた耳の裏。柔らかい白交じりの毛がふさふさ生えました。
こちらは治療開始から90日目の最初に見つかったハゲです。もうすっかり完治しています。どのくらいで黒い毛に生え変わるんだろうか……。
猫カビは他の猫にも移る場合がある
多頭飼育などでは他の猫に感染する可能性があるため、免疫力の低い仔猫や老猫がいる場合などは完治するまで隔離を行ったりします。以前、個人宅の保護猫カフェに行った時に猫カビが蔓延しており、何匹もの小さな仔猫が感染していました。
我が家にもテトがいたのですが、バリバリ健康体だったこともあり、特に隔離などは行いませんでした。一緒に寝たり、ピノを毛繕いしてあげたりしていましたが、結果的に感染することなく元気です。ちなみに飼い主にも感染しませんでした。
猫カビ治療の費用と期間
猫カビの治療費
- 検査キット:2,000円
- 塗り薬: 700円
- 消毒薬: 500円
- 送料: 333円
- 合計: 3,533円+税
今回は自宅での検査と治療だったため診察代の代わりに送料が掛かっています。病院での検査と処方の場合は内容にもよりますが、4,000~5,000円程度が相場のようです。
猫カビの治療期間
今回は治療を開始してからおおよそ30~50日程度で治すことができました。毛が生えそろうまでにまもう1ヵ月程度は必要です。
治療開始後は新たな感染や重症化などもせずに、比較的良好な治療経過だったと思います。免疫力が低い子などは完治までに何か月もかかる場合もあるようです。
猫カビは再発する可能性がある
猫カビの原因となる菌はどこにでも存在するカビ菌です。抵抗力が弱まるなどしたときに、今回のように毛が抜けるなどの症状が現れます。
今回の猫カビ治療からおよそ半年後の2020年4月に、ピノは再び猫カビになりました。場所はほぼ同じく首回りに1カ所ハゲができました。今回の記事で紹介しているのと同じ方法で治療をしたところ、1ヵ月程で毛が生えてきました。
発見時には、掻いてしまったようで赤く炎症を起こしていました。
消毒液とケトコナゾールを塗ってから5時間程で炎症は治まりました。
治療開始10日後。まだハゲが目立ちます。
治療開始15日後。写真では分かりにくいですが薄く毛が生えてきました。その後は、ゆっくり毛が生えそろい完治しました。
今回も同居猫のテトや飼い主には移らなかったので、ピノは猫カビが出やすい体質なのかもしれません。
猫カビについてまとめ
獣医さんのご好意で自宅で検査と治療が出来るよう対応してもらいました。ただ、自宅検査は失敗するリスクも高いので対応してくれるかどうかは獣医さんにもよります。
ピノの場合は避妊手術の時に実際に最初のハゲを診てもらっていたこと、患部の写真を送ったことがあります。病状も他のばい菌に感染して赤くなっていることなどもなく軽度だったため、スムーズに完治することができました。
再発する可能性のある皮膚疾患なので、日ごろからの猫の様子を見ておくことが大切です。早めに見つければその分、重症化を防ぎ治療も早く終わります。
猫カビ予防にオススメのシャンプー
普段から猫カビを予防するのにオススメのシャンプーをブリーダーさんから教えてもらいました。我が家の猫達専用シャンプーです。
コラージュフルフル ネクスト
標準価格:1,720円(200ml)
人間用のシャンプーですが猫にも使えます。真菌の増殖を抑え、フケ・かゆみを防ぐミコナゾールが配合されたシャンプーです。猫に使用する場合は必ず無香料の商品を選んで下さい。
200mlと400mlがあります。猫専用シャンプーにする場合は年に数回程度しか使わないので、小さいサイズでも充分かと思います。詰め替え用もあります。